和傘を守る家、CASA
ぽんぽん、ぱたぱた、ぽつぽつ、、
和傘に雨が当たる音は、まるで小鼓のよう。
その軽やかな響きは、和傘を差す人だけが感じることのできる特別なものです。
洋傘を使うのが当たり前になった現代。和傘を使うことはぐっと減り、芸能舞台や着物を着る時、コスプレなどの機会などでしかその姿を見る機会もないのではないでしょうか。しかし、古来から日本人に愛されてきた和傘には、洋傘にはない繊細な魅力があります。
和傘の生産量の7割を担うのは、岐阜市加納地区。加納は、長良川の水運によって上質な竹や和紙が手に入る恵まれた地であったため、古くから和傘作りが行われてきました。そんな加納での和傘産業のはじまりは、寛永16年(1639年)にまでさかのぼります。現在は川が埋め立てられ、当時の水運はイメージしにくいですが、現在でもその和傘作りは続けられ、様々な使い手に傘を届けています。
そんな和傘をはじめとする、長良川流域のプロダクトの魅力を伝えているのが「和傘CASA」。以前おかっての記事にも取り上げた、「長良川デパート」から派生した場所である「長良川てしごと町家CASA」の1Fフロアに位置します。もともと長良川デパートで取り扱っていた和傘。その魅力をきちんと伝えたいとの想いの元で、新たにオープンされました。
和傘の魅力を語ってくださったのはCASAの店長、河口さん。町家に引っ越す際にお母さまの和傘を、“家の雰囲気に似合うと思うから”と手渡されたのが和傘との出会いでした。しかし当時は特に関心はなく、ずっと仕舞い込んでいたそう。着物を着る機会が増えたことで“着物に洋傘は似合わない”と感じ、和傘を購入したことをきっかけに改めて和傘と出会いました。自ら購入すると決め、使い始めたことでその魅力を強く感じ始めたといいます。
和傘を差すと頭上に広がるのは美しい空間。ビニールとは違う、和紙ならではの柔らかな光の透過が感じられます。また、雨傘の和紙には油が引いてあるため、その独特の香りも楽しめます。そして、和傘の最大の特徴はその美しい竹の骨。洋傘の骨は最大でも8本。それに対し、和傘は40本以上もの骨からなります。それに加え、装飾と補強の役割があるかがり糸の美しさはまるで花のよう。和傘の凛とした雰囲気は、こうした丁寧な手仕事から生まれています。
最盛期には年間1500万本も生産されていた加納の和傘。現在では時代の流れとともに使い手が減ったことで職人も減少し、年間2500本程度の生産数となりました。“使い手を増やしたい、和傘を遺し続けたい”との想いで、CASAは「岐阜和傘専門店」としてその魅力を伝えています。
「長良川デパート」で取り扱っていた頃よりも、広げたり、眺めたり、ゆっくりと和傘に触れることのできる「和傘CASA」。着物に合わせるのはもちろん、普段使いのシーンを想像しながら傘を選ぶひとときを楽しめます。丁寧に扱えば5年〜10年も愛用できるという和傘。消耗品としての傘が当たり前になってきた現代だからこそ、大切に使いたくなる傘に出会ってみませんか。
長良川てしごと町家CASA
〒500-8009
岐阜市湊町29
090-8335-9759(和傘CASA)
11:00-18:00
火曜・水曜 定休
P 2台
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