長良川デパートと、166㎞のストーリー
「ストーリー」という言葉をよく耳にするようなった。あらゆるものの背景にある物語を知る機会が増えたことで、私たちの想像力は少しずつ広がってゆく。
166㎞。なんの長さでしょうか。
これは、一級河川長良川の全長です。この長良川の流域には、歴史と風土に育まれたさまざまなストーリーがあり、その土地ならではの品々が数多く存在します。
古く、水運として利用されてきた川。岐阜市に位置する湊町は、かつて長良川の川湊(かわみなと)として人やモノ、そして物語が集まる場所でした。上流の郡上からは木材を、美濃からは和紙を、下流の桑名からは海産物を。川の流れとともに運ばれたそれらは岐阜の地で加工され、日本や世界へと送り出されてきたという歴史があります。
そんな湊町にある、築100年を超える町家にお店を構えるのが「長良川デパート」。長良川で生まれ育った選りすぐりの品々を、そのストーリーとともに伝えたい、という想いのもとで始まったセレクトショップです。元々はオンラインのみで商品の販売をしていましたが、2016年6月に現在の場所に実店舗としてオープンされました。
普段お店に立つのは長良川デパートに勤めて3年目の、岩田さん。柳ヶ瀬のお店に置いてあった手書きの求人紙を見つけて応募した当初は、取り扱う商品に深いストーリーがあるということを全く知らなかったそう。和傘や下駄、美濃和紙など、ひとつ1つの商品には長良川を中心とする自然の恵みや職人、生産者たちが深く関わっているということにとても驚いたと言います。
お客さまと1対1で、直接その魅力を伝えることができるというのは店舗ならでは。実際に商品を手に取るという体験も、オンラインではできない貴重な機会です。長良川流域のプロダクトについて知る機会のなかった岩田さん自身が、それをより多くの人に知ってもらいたいとの想いで、現在は伝える立場を担っています。
「地元の人にこそ知ってもらいたい。」と話す岩田さん。岐阜に住む人の多くは、“岐阜には何もない”という言葉を発しがちで、誇りを持つ意識が薄いように感じます。しかしそれは、ただ知らないだけ。知る機会がないだけ。長良川デパートでは、長良川の恵みによって、岐阜には素敵なものがたくさんあるということに気付くことができます。そしてそれは、地元である岐阜に誇りを持つ人が少しでも増えるきっかけにもなります。
今の時期には、岐阜羽島から届いたカシミヤマフラーが目立つところにディスプレイされています。オープン当初から徐々に取り扱う商品も増えており、賑やかな印象の店内。じっくり時間をかけて楽しめます。クリスマスプレゼントやお歳暮にも、岐阜の逸品を見つけにきてみてはいかがでしょうか。
長良川デパート 湊町店
10:00-18:00
年末年始休み(不定休)
500-8009 岐阜市湊町45
岐阜バス「長良橋」下車 徒歩2分
河川敷無料駐車場もしくは岐阜公園駐車場(有料)
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