長良川とお盆

7月15日、長良川の流れと共に岐阜町のお盆が終わっていった。

お盆と聞くと8月をイメージしますが、岐阜町のなかには旧盆である7月に、お盆のしきたりを執り行う人びとがいます。7月13日の迎え火で先祖を迎え、7月15日に送り火、そして精霊船を長良川に流し先祖を見送る岐阜町ならではのお盆。川と共に生きてきた人びとのお盆を紹介します。

玄関先で火を焚き、煙を立てて先祖を迎え入れる家の中には「迎え団子」と呼ばれるお団子が用意してあります。迎え火をした翌日の16日には1日3食の精進料理をお供えし、送り出す17日の夜には、最後の食事としてお粥を。ごちそうの後にこうした優しい食事をお供えする心遣いに先祖への敬いを感じました。一枚の屋根瓦を玄関先に置き、その上で火を焚くといよいよお盆も終盤に。送り火を終え、長良川へと向かいます。
お粥と共に数種類のお供えものを白紙に包み、詰め込んだのは精霊船と呼ばれる藁で作られた小さな舟。お盆の代表的な存在である胡瓜と茄子、ほうずきなどもその精霊船に詰め込み、最後に提灯を飾り付けます。岐阜町の人びとが昔から日常的に利用していたという、伊奈波付近の川辺に到着すると、改めて火を焚き、手を合わせます。
そして、皆が見守る中、長良川に精霊船がそっと乗せられます。力強い川の流れに乗った船はするすると流れていき、波に揉まれながら徐々に見えなくなっていきました。


お盆の風習は地域によってさまざま。長良川と共にあった岐阜町の人びとならではのお盆の形を目の当たりにしたことで、改めて日本のお盆に想いを馳せたいと感じました。

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